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「最近出版物の傾向と取締状況(大正10年1月調):ラッセル」
内務省警保安局編集,大正10年

* 再録:『出版警察関係資料集成』(不二出版,1986年)pp.125-137.


『最近出版物の傾向と取締状況(大正10年1月調)』

目 次

(一)総説
(二)数字に現れたる出版物の趨勢
(三)出版物の内容より見たる変遷
 第一 社会思想
 (1.マルクス、2.ギルド・ソシアリズム、3.ラッセル、・・・以下略)

(松下注:手書きのものを翻刻出版しているため、下記の★印のところは判読不能のもの。下記画像を参照のこと)

3.ベルトランド・ラッセル(ママ)

 ベルトランド・ラッセルの思想学説は、大正八年秋頃始めて紹介せられたりしが、昨年上半期に於いて其の全盛を極め、一時我が論壇を司配するの勢を示せり。蓋しマルクス主義の全盛・唯物主義現実等の横行に対する思想的反動として、彼の理想主義的精神主義的思想が歓迎されたるものならんか。

 一、社会改造の原理  松本悟郎訳
 二、自由への道    坂橋、時国、松本共訳
 三、改造の理想    松本悟郎訳
 四、正義と闘争    時国理一訳

★等は、その単行本の主なるものにして即ち、日本に輸入せられたるラッセルの著書は悉く其の全訳出版を見たり。
 又雑誌は於★見るに

 一、[論文タイトル記入なし]    「★」一月号 木村久一
 二、ベルトランド・ラッセル     「東方時論」1月号 西宮藤★
 三、ラッセルとその主張の批判的解剖 「太陽」二月号 杉森孝次郎
 四、ラッセルの想望(?)の解剖     「大観」五月号 長谷川如是閑
 五、ラッセルの思想批判、科学的哲学者と其の社会論
                   「大観」五月号 桑木厳翼
 六、ラッセルの哲学          同上     鷲尾正五郎
 七、ラッセルの改造論         同上     阿部秀助
 八、ラッセルの欲望論と信仰論    「青年雑誌?」七月号 田中玉堂

等、その主たるものとして一時は読書界において異常に囃(はや)されたること一昨年のマルクスを見るが如し。