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沢田允茂「バートランド・ラッセルと論理学」
表紙 発刊のことば 目次  p.1 p.2 p.3 p.4 p.5 p.6 p.7 p.8 p.9 p.10 p.11 p.12 p.13 p.14 p.15 p.16 p.17 p.18 p.19 p.20 p.21 p.22 p.23 p.24 p.25 p.26 p.27 p.28 p.29 p.30 p.31 p.32 p.33 p.34 p.35 p.36 p.37 p.38 p.39 p.40 p.41 p.42 p.43 p.44 p.45 p.46 p.47 p.48 p.49 奥付
(p.23)最も単純な基本的事実としての原子的事実(atomic fact)を表現していると考えるところに、彼の論理的原子論(logical atomism)の哲学があるのです。ところで論理学として大切なのは、基本的な原子命題をいろいろな記号で結びつけるとき、そのようにして出来た無限に多くの複雑な命題のなかで、どんなことがらに関してもあてはまるような言い方であるかどうか、つまり命題の中味がどんなに変ろうとも常に正しい結びつけ方というものがあるのだろうか、ということだったのです。例えば前に記した
 「もし雨が降るならば、地が固まる」
 「実際に雨が降っている」
 「だから地が固まるだろう」
といった言い方は、
 「もし鉄道の運賃が上がれば、物価が上がる」
 「実際に鉄道の運賃が上がる」
 「だから物価が上がるだろう」
といった言い方と、話しの内容はちがうけれども同じものですし、もし最初の言い方が正しいとすれば、後の言い方も正しい言い方といえるわけです。そういう正しい言い方を体系的に集めたもの、 (次のページに続く)