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沢田允茂「バートランド・ラッセルと論理学」
表紙 発刊のことば 目次  p.1 p.2 p.3 p.4 p.5 p.6 p.7 p.8 p.9 p.10 p.11 p.12 p.13 p.14 p.15 p.16 p.17 p.18 p.19 p.20 p.21 p.22 p.23 p.24 p.25 p.26 p.27 p.28 p.29 p.30 p.31 p.32 p.33 p.34 p.35 p.36 p.37 p.38 p.39 p.40 p.41 p.42 p.43 p.44 p.45 p.46 p.47 p.48 p.49 奥付

(p.19) 「Xが真だ」を「X=1」とおきますと、従来の三段論法や、三段論法に似た推理の形式、例えば『「もしXならばYである」「そしてXである」「ならばYである」』は、私達の普通の文章になおしますと、
 「もし雨が降れば地は固まる」
 「実際に雨が降っている」
 「故に地は固まるだろう」
というようなことになりますが、これを数学的に表現してみると
 「x(1-y)=0」 @
 「x=1」   A
Aを@へ代入すればひとりでに(計算してみれば)
 「y=1」となり「地が固まる」という結論の命題が真であることが計算によって出てくるのです。

 さて、以上みてきましたように、人間の言語で表現されたものを、数や記号であらわすといった考え方は、ある意味で従来のアリストテレスの論理学、すなわち、われわれの日常使っている言語の文法的な構成にこだわった考え方を全部とりはらって、かわりに数学的な厳密な式であらわすということになるのです。(次のページに続く)