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斉藤慶司「使徒達 'Apostles'-ブルームズベリー・グループの群像」

* 出典:『慶応義塾大学商学部・日吉論文集』v.15(1974年),pp.1-107.
'The Society' ('Apostles')の主な会員:
...Henry Sidgwick(1838-1900); A. N. Whitehead(1861-1947);Goldsworthy Lowes Dickinson(1862-1932); Nathaniel Wedd(1864-1940); J. E. McTaggart(1866-1925); Roger Fry(1866-1934); Bertrand Russell(1872-1970); G. E. Moore(1873-1958); G. M. Trevelyan(1876-1962); Desmond MacCarthy(1877-1952); G. H. Hardy(1877-1947); Leonard Woolf(1880-1969); E. M. Forster(1879-1970); Lytton Strachey(1880-1932); John Maynard Keynes(1883-1946), ...

(pp.7-8:'相手が見るものを見る')

 「使徒達」('Apostles')は秘密団体であった。会員は少数で,学部の学生を含めてわずか6名しかいないこともあった。新入会員の選抜には異常な注意が払われた。これは当然ある程度 'Society' そのものの性質に由るわけだが, Cambridge 学内でも最も傑出した連中が「使徒の会」に加わる結果になった。Tennyson, Dean Mervale から Henry Sidgwick や John Meynard Keynes に至るまで,会員の 'Society' に対する愛情と,彼等の生涯に及ぼした'Society' の意義の評価において,全会員'の証言するところは、全く一致している。'The Society' はその会員にとってケムブリッジ大学生活の中心であった。彼らが離ればなれにいることは先ずなかった。お互いの部屋で共に食事し、一緒に競艇会に加わり,休暇を共に過ごし,そして何よりも常に語り合った。週一度、土曜の晩に集い合って,会員の一人が書き上げた論文を皆で朗読し合い議論するのであった。Sidgwick は、'The Society' の精神と彼等の議論の模様について次のように語っている。
「親しい友人のグループが,絶対的献身と率直さを以て真理追究する精神がそれであったと記すことしか出来ない。彼等は互いに全くつつみ隠すことをせず,剽軽な皮肉や,ふざけた揶揄に耽るときがあっても,互いに尊敬を失うことはなかった。一人が論じているときには,皆が彼から学びとろうとし,彼の見るものを見ようと努めるのであった。絶対的正直,これが,'この団体の伝統が命ずる唯一の義務であった。」
 この精神と伝統が幾星霜も`The Society' に伝承されたのであり,この精神と伝統が、Cambridge(大学) から Bloomsbury(ブルームズベリー・グループ) へ移植されたのである。