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バートランド・ラッセルのポータルサイト


Nightmares of Eminent Persons and Other Stories,
illustrated by Charles W. Stewart.

London; Bodley Head, 1954. 150 p. illus. 21 cm.

『著名人の悪夢』序文

(松下彰良 訳)
Introduction

・・・。いかなる隔離された情熱も,隔離された状態のままでは,(一種の)狂気である。正気とは,種々の狂気を総合(統合)したものとして定義してよいだろう。いかなる支配的な情熱も,(その情熱の対象を)達成できないという,支配的な恐怖を引き起こす。いかなる支配的な恐怖も,時には明白かつ意識的な狂信の形で,時には人を無力にさせる臆病のために,時には夢の中にのみ現れる無意識あるいは意識下の恐怖のために,悪夢を引き起こす。危険な世界において正気を保持したいと思う者は,自分の心のなかで恐怖の議会を招集し,そこにおいて,個々の恐怖を順にとりあげ,他の全ての恐怖によって,不合理であるとして票決されるべきである。

意訳:「正気」というのは,平凡かつ起伏のない感情の寄せ集めでできているものではない。それぞれの情熱(強い感情)を一つ一つとりあげれば「狂気」に映るかもしれないが,それらの情熱(+の狂気と−の狂気)をまとめると,全体としてみれば,プラスマイナス零となる。そういった状態が「正気」というのであろう。)

... Every isolated passion is, in isolation, insane; sanity may be defined as a synthesis of insanities. Every dominant passion generates a dominant fear, the fear of its non-fulfilment. Every dominant fear generates a nightmare, sometimes in the form of an explicit and conscious fanaticism, sometimes in a paralysing timidity, sometimes in an unconscious or subconscious terror which finds expression only in dreams. The man who wishes to preserve sanity in a dangerous world should summon in his own mind a Parliament of fears, in which each in turn is voted absurd by all the others. ...
(掲載日:??.??.??/更新日:2011.3.26)