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バートランド・ラッセル 宗教と科学 第6章 (松下 訳) - Religion and Science, 1935, by Bertrand Russell

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第6章 決定論 n.5 - 決定論が正しいとすると・・・

 我々は次のような方法でこのような困難から脱出を試みることできる。我々は,我々がその中心を占めている(中心にいる)ある領域内で1936年(注:ラッセルのこの本の出版の翌年)始めに起こりつつある全てのことを知っていると仮定(想定)してみよう。物事を明確にするために,(とりあげる)その領域は極めて広大で,光がその領域の境界線(注:circumference その領域の中心から一番離れたところ)からその領域の中心に到達するのにちょうど一年かかるとしよう(注:つまり1光年の範囲)。その場合(Then),光よりも早く動くものはないから,1936年にその領域の中心で起る全てのことは -決定論が正しければ- その年(1936年)の始めにその領域の中に存在したことにのみ依存しなければならない。なぜなら,それより遠くにある物は,その領域の中心に何らかの影響を持つのに一年以上かかるであろうからである(注:荒地出版社刊の津田訳では「a certain sphere」を「ある領域」と訳し,そのすぐ後の「the sphere」を「天体」と訳しているので,前者と後者が同じ領域のことを言っていると理解できない訳し方となっている)。我々は,実際,その年(1936年)が終るまで想定されているデータ(our supposed data 我々が想定しているデータ)を全部入手することはできないだろう。なぜなら,(1光年先の)周辺領域から我々のところに(光が)達するにはそれだけの長さの時間かかるだろうからである。しかし,その年が終ると,時間を遡って,我々がいま持っているデータが,既知の因果律(因果法則)とともに(と一緒に),その年(1936)に地球上で起こった全てのことを説明する(account for 釈明する)かどうかを調査することができる。

Chapter 6: Determinism, n.5


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We can attempt to escape from this difficulty in the following manner. Let us suppose that we know everything that is happening at the beginning of 1936 within a certain sphere of which we occupy the centre. We will assume, for the sake of definiteness, that the sphere is so large that it takes just a year for light to travel from the circumference to the centre. Then, since nothing travels faster than light, everything that happens at the centre of the sphere during the year 1936 must, if determinism is true, be dependent only on what was inside the sphere at the beginning of the year, since more distant things would take more than a year to have any effect at the centre. We shall not really be able to have all our supposed data till the year is over, because it will take that length of time for light to reach us from the circumference ; but when the year is over we can investigate, retrospectively, whether the data we now have, together with known causal laws, account for everything that happened on the earth during the year.
(掲載日:2018.10.27/更新日: )