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バートランド・ラッセル 権力 第14章 - Power, 1938, by Bertrand Russell

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第14章 競争, n.13 - 平和的に政権交代を実現できる自由


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 宣伝の自由には,それが一般市民の関心(興味)を引く場合(一般市民がそれに関心を持つ場合)においては,暴力革命か,あるいは(そうでなければ)さらなる(現状以上の)自由,即ち,政府を選択する自由を認めること(承認すること)が伴う。それ(宜伝の自由)は,民主主義密接な関係にあるものであり,また(同時に),不満のある社会の(社会に対する)自治権(the right of A to autonomy)とも密接な関係がある。要するに,革命によって達成されるだろうものを(注:otherwise そうでなくて=暴力革命によらずに)平和的に達成しようとする権利密接な関係がある。これは重要な権利であり,その重要性を認識することは世界平和にとってとても必要なものである。しかし,それは宜伝の自由の権利をはるかに超えたもの(権利)である。

 まだ熱心な革新者の観点で考察することが残っている。我々は,コンスタンティヌス帝(の時代)以前のキリスト教徒(注:コンスタンティヌス帝によってキリスト教が公認される前のキリスト教徒)マルチン・ルッターの時代の新教徒,及び現代の共産主義者をその(熱心な革新者の)典型としてとりあげてよいだろう。そういった人々は,言論の自由をめったに信じたことはなかった。彼らは進んで(信仰のために)殉教殉死)してきたが,等しく,他の人々も進んで殉教殉死)させてきた。歴史が示すように,昔は,決意を持った人々は,政府がどうであるかにかかわらず,自由にしゃべることができた。けれども,現代の政府は(昔の政府よりも)もしかすると(perhaps)根本的な革新を行うことを不可能にすることにおいて,もっと効率的であって,もっと成功するかも知れない。これに反して,戦争は,革命を,また無政府状態さえも,引きおこし,もしかすると,何か全く新しいものの始まりに導くかも知れない。このような根拠に立って,共産主義者のなかには,次の戦争を期待している者がいる(のである)。

Chapter 14: Competition, n.13

Freedom of propaganda, in the cases in which it interests the ordinary citizen, involves either violent revolution or the recognition of a further freedom, namely that of choosing the government. It is bound up with democracy and the right of discontented communities to autonomy ; in a word, with the right to achieve peacefully what would otherwise be achieved by revolution. This is an important right, and its recognition is very necessary for the peace of the world; but it goes far beyond the right of free propaganda.

It remains to consider the standpoint of the ardent innovator. We may take as typical the Christian before Constantine, the Protestant in the time of Luther, and the Communist at the present day. Such men have seldom been believers in free speech. They have been willing themselves to suffer martyrdom, but have been equally willing to inflict it. History shows that, in the past, determined men could speak freely in spite of governments. Modern governments, however, are more efficient, and will perhaps succeed in making fundamental innovation impossible. On the other hand, war may cause revolution and even anarchy, leading, perhaps, to some quite new beginning. On this ground some Communists look forward with hope to the next war.
(掲載日:2018.02.13/更新日: )