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バートランド・ラッセル 権力 第14章 (松下彰良 訳)- Power, 1938, by Bertrand Russell

Back(前ページ) Next(次ページ) 第14章__イントロ索引 Contents(総目次)

第14章 競争, n.8 - 政治宣伝の自由の原則の放棄


ラッセル著書解題
 自由主義者が(少なくとも)理論上は自由にしておきたいと思っている,(政治)宜伝における競争は,武装した(軍備を持った)国家間の競争と結びつくようになってきている。あなたがファシズム(全体主義)を説くならば,その最も重要な効果(effect 結果)は,ドイツとイタリアを強化することである。(また)あなたが,仮に共産主義を説いても,共産主義をもたらしそうもないけれども,ロシア次期の戦争で勝利するのを助けることになるかも知れない(注:本書は第二次世界大戦直前の1938年に出版されたことに注意)。もしあなたが民主主義の重要性を強く主張するとすれば,チェコスロヴァキア防衛のためにフランスと軍事同盟を結ぶという政策に支持を与えていることに気づくであろう(注:これで "You あなた"というのは、英国民あるいは第二次世界大戦時の連合国側の国民であることがわかる。/ lend support to ~を支持する)。ロシアとイタリアとドイツが,次々と(政治)宣伝の自由の原則を放棄したことは驚くべきことではない。というのは,これらの国々の現政府が(政権獲得)以前にこの原則を採用したことが自分たちの先任者(前政権)を駆逐することを可能にしたのであり,そうして、その原則を継続させたならば,彼らの政策実行を全く不可能にしてしまったであろう。今日の世界は,18,19世紀の世界とは非常に異なっているので,(政治)宜伝における自由競争を支持する自由主義者の論拠(議論)は,それが妥当なものであり続ける限り,注意深く現代の用語(言葉)で述べ直す必要がある。私としては,それらの論拠は大いに妥当性を保持していると信じているが,併せて,理解するのが重要であるところの(種々の)制約の対象となる、と信じている。

Chapter 14: Competition, n.8

Competition in propaganda, which Liberals, in theory, would leave free, has become connected with the competition between armed States. If you preach Fascism, your most important effect is to strengthen Germany and Italy; if you preach Communism, you are not likely to bring it about, but you may help Russia to win the next war; if you urge the importance of democracy, you will find yourself lending support to the policy of a military alliance with France for the defence of Czechoslovakia. That Russia, Italy, and Germany should have successively abandoned the principle of freedom in propaganda, is not surprising, for the previous adoption of this principle enabled the present goverrments of those countries to overthrow their predecessors, and its continuance would have made the carrying out of their own policy totally impossible. The world at present is so different from that of the eighteenth and nineteenth centuries that the Liberal arguments for free competition in propaganda, in so far as they remain valid, need to be carefully re-stated in modern terms. I believe that they retain a large measure of validity, but that they are subject to limitations which it is important to realize.
(掲載日:2018.02.06 /更新日: )