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(『ラッセル思想辞典』より)

パグウォッシュ運動

(From: Dear Bertrand Russell, 1969, pt.2, chap.2.


 ビキニの水爆実験とソ連の水爆開発とは、米ソ双方の予想を上回って、核危機の大きいことを実証した。一九五四年十二月二十三日、私はBBC放送でそれを強調した。この反響が驚くほど広がった。それで、私がラッセル=アインシュタイン宣言を出すことになった。(松下注:ラッセルが草稿を書き、アインシュタインが死の直前に署名。)私は、共産主義国と西欧から極めて優れた科学者十名の署名を集めた。
 これは、東西の関係者がこのような文書に協力し合った最初の例である。
 一九五五年七月九日、これを共同記者会見で公表し、全世界の一流紙のロンドン特派員が集まり、会見はテレビとラジオとで全世界に中継された(右の写真参照)。ここから生れたのがパグウォッシュ運動(Pugwash Movement)である。
 またパグウォッシュ会議(Pugwash Conference)とは、東西の科学者が人類の当面している危険について語り合い、その予防手段について論じ合い、東西相互の偏見を乗り越えて決議文を作成する一連の会議である。
 この名称は、第一回の会議開催地がノヴァ・スコティアのパグウォッシュで開かれ、サイラス・イートン氏の厚遇と財政的援助で成功した事実から、パグウォッシユと命名された。
 この会議が度重なるにつれ、その開催経験から、東西双方の科学者たちの間での友好的な協力が完全に可能であること、および重要な意見の一致が可能であることなどが分った。同会議の成果は、「原子科学者会報」(Bulletin of the Atomic Scientist)の編集主幹ユージーン・ラビノヴィッチ教授から入手することができる。
 この最初の開催以来、核戦争の危険とその回避方法に関する運動が、英、米、独、日で組織された。