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バートランド・ラッセル「一枚岩の団結」

* 原著:Fact and Fiction, 1961, part II, chap. 1 [What is Freedom? (1952)] & 2 [What is Democracy? (1953)]
* 出典:牧野力(編)『ラッセル思想辞典


 要旨訳です。

 スターリン(支配下の)ロシア(注:1922年から死亡する1953年3月5日まで)には、現行のソ連学校組織の完成以前に成人したロシア人がまだ生き残っている。政府は公認の考え方から逸脱した人々を監視する必要がある。国民全部に対する政府公認思想の注入が完了すれば、異説も存在しなくなる。政府の教育過程を通じ、完全なる心理的奴隷化の勝利を誇示できる。
There are still people in Russia who grew up before the present school system was perfected, and therefore the government still finds it necessary to persecute deviations; but when all the population has enjoyed the full benefits of indoctrination in school, there will no longer be any heretics, and the Soviet Government will be able to point triumphantly at a revival of apparent mental freedom secured at the costs of complete psychological enslavement by the process of education.

 全国民が党政府の公式見解をそのまま鵜呑みにするから、奴隷化された国民の一枚岩の強さを政府は誇示できる。戦争が団結を必要とする限り、一枚岩の団結は好戦的な国民が大昔から考えた理想であった。
 だが、各個人の創意工夫の芽をつみとる一枚岩の統制は知的創造性を遠のかせ、科学的進歩の遅れを招き易い。固定化による沈滞は避けられず、やがて崩壊への素因を内包することになる。