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牧野力(編)『ラッセル思想辞典』より

自由を守る

(From: What is Freedom?, 1952)

 西欧世界全体を通じて,自由の破壊を目的とする集団に,自由を与えるかどうかという緊急問題が起きて来た。
  1. 民主主義は,民主政治を葬って独裁政治を樹立せんとする企図に対し,寛大な態度を採るべきか。
  2. 寛容の精神は,不寛容を提唱する人々にも及ぼすべきか。
  3. 出版の自由は,自由な出版を嫌悪すべきものと考える人々にも与えられるべきか。
  4. いかなる国家も,自国を外国の支配に隷属させようと企図する強力な集団を結成することを容認すべきか。
 西欧諸国家はこれらの問題に多種多様の回答を与えている。より多くの自由を与えてきた国もあれば,自由を制限してきた国もある。このような問題に決定的な回答ができるような原則があるとは私は思わない。おおざっぱに言えば,政府転覆の危険が大きければ,対抗措置を講ずるのも当然とする理由が強くなる。危険なのは,驚いた人々が自由を支持する一般的な議論を忘れ,そして,自由を確保する上で必要な限度を越えて圧制をやりだすことである。英国においてはこの危険を避けてきたと私は考えるが,この危険が米国において回避されてきたとは思われないしかし,これらの問題は,賛否両論いずれの側の議論でも,バランスのとれた議論でなければならないから,何か明快な方針を提唱するのはむずかしい。

The danger is that frightened men will forget the general arguments in favour of liberty and will carry suppression much further than is neessary in the interests of security. I think that in Britain we have to a great extent avoided this danger. I do not think that it has been avoided in the United States.