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The Conquest of Happiness, 1930
by Bertrand Russell

ラッセル『幸福論』(松下彰良/訳)

  Part I(Causes of Unhappiness), Chap.1: What makes people unhappy?

Next(次ページ)  Contents(総目次)
Bertrand RussellThe Autobiography of Bertrand Russell の邦訳本は,古書店を探しても入手困難であり,入手できたとしても誤訳が多くあります。そのため,松下訳でホームページに邦訳を連載する意義は少なくないと考え,連載することにしました。(2006年8月追記:各章末の書簡を除き,2006年8月8日に本文の邦訳を終了しました。)
 これに対し,The Conquest of Happiness, 1930 の邦訳(ラッセル『幸福論(幸福の獲得)』)は,岩波書店などから出されており,新刊書店でも古書店でも入手しやすいので,ホームページに邦訳を連載する意義はそれほどないだろうと考えて,ホームページにアップロードすることは考えていませんでした。しかし,『ラッセル自伝』は,ラッセル個人に興味を持っている人でなければあまり読まないと思われることから,誰もが興味を持てるコンテンツとして,ラッセル『幸福論』の邦訳を,連載することにしました。(2004.10.11/2006.8.8 追記:全訳が終了しました!)


序文

 この本は,学者や,実際的な問題などおしゃべりの話題にすぎないと見なしているような人びとを対象に書いたものではない。本書には,深遠な哲学も,深い学識も発見できないだろう。私はただ,多くの人の常識(であってほしいと私が願うもの)によって導かれた若干の意見をまとめようとしたにすぎない。読者に提供した処方簑について私が言えることは,ここに書かれたものは私自身の経験と観察によって確かめられたものであるということ,またこれらに従って行動したときにはいつも私自身の幸福を増してくれたものである,ということだけである。それゆえ,あえて希望したいことは,不幸を楽しむどころか(岩波文庫の安藤訳では,「幸福をエンジョイすることなく」となっているが,it は unhappiness をさしているので,安藤訳ではニュアンスが少し違ってきてしまう。),不幸に苦しんでいる非常に多くの男女の中に,本書によって自分の置かれた状況を自ら診断し,また(提案・暗示された)不幸から逃れる方法を発見できる人が少しでもいたら,ということである。(現在)不幸な多くの人びとも,正しく方向づけられた努力によって幸福になることができるという信念のもと,私は本書を書いたしだいである。
* (カット写真: 京都鴨川・賀茂大橋からの眺め,2004.10.10 撮影)
Preface
京都 鴨川 This book is not addressed to the learned, or to those who regard a practical problem merely as something to be talked about. No profound philosophy or deep erudition will be found in the following pages. I have aimed only at putting together some remarks which are inspired by what I hope is common sense. All that I claim for the recipes offered to the reader is that they are such as are confirmed by my own experience and observation, and that they have increased my own happiness whenever I have acted in accordance with them. On this ground I venture to hope that some among those multitudes of men and women who suffer unhappiness without enjoying it, may find their situation diagnosed and a method of escape suggested. It is in the belief that many people who are unhappy could become happy by well-directed effort that I have written this book.