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ラッセル関係書籍の検索 ラッセルと20世紀の名文に学ぶ-英文味読の真相39 [佐藤ヒロシ]

バートランド・ラッセル「第一原因による神の存在証明法」

ラッセル思想辞典』より)

* From: Why I am not a Christian, 1927.


 (神の存在証明で)最も単純で一般に理解しやすいのは、第一原因による証明法である。この世のすべてには原因があり、その原因の連鎖をどんどん遡ると、「第一原因」にたどりつくと考える。
 この考え方は、哲学者や科学者が厳しく検討した結果、今日では重要視されなくなり、昔のような活力を失った。
 私も少年時代、久しくこの証明法を真理と思っていた。しかし、十八歳のある日、J.S.ミルの自叙伝の中のミル親子の対話(松下注:人間やこの宇宙は神が創った(と仮定)。それならば神はだれが創ったんだ?!)から、この考え方の誤謬に気付いた。


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 もしあらゆるものが原因をもたねばならないなら、神にも原因がなければならない。もし原因なしに、何かが存在できるならば、その何かは、神でも世界でも(松下注:悪魔でも)よいことになる。・・・。物事には必ず初めが必要だという考え方は、実際には、人間の想像力の貧困によるものである。(写真:B.ラッセルとA.シュバイツアー)


(Original text:If everything must have a cause, then God must have a cause. If there can be anything without a cause, it may just as well be the world as God, so that there cannot be any validity in that argument. ... The idea that things must have a beginning is really due to the poverty of our imagination.)