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ラッセル思想辞典』より

平和教育

(From: What is Democracy?, 1953)

 ・・・。至る所で国家に好都合な考え方が横行しています。若い人たちが疑問を抱かず,かつ教条的に国家を第一とする考え方を受けいれるように仕向けるのが適切だと思われています。現在,これらの中で最も破壊的なものは,国家主義です。・・・。国家主義は,民主主義から見て,これまでに満足できないものであったことが証明された事柄の一つです。・・・。
 ナポレオン戦争の間,英国の下層階級は,英国の戦勝には無関心でした。しかも,フランス国民も,英国民と同じ人間だと思っていました。このような考え方は,英国の上流階級にはありませんでした。たとえば,ネルソン提督は,彼の部下である海軍士官の卵(である候補生)に向かって,「諸君は,悪魔を憎むようにフランス人を憎まなければならない」と訓示しました。また,政府を構成するのは上流階級でした。フランス国内でも,ナポレオンが戦争に勝利して勇気づけられる人たちを除けば,戦争への熱意はどこにもありませんでした。・・・。
 18世紀には,戦争は儲かる商売ありえました。アメリカ独立戦争は例外として,英国は,18世紀に行われた諸戦争において,ただ財政的観点だけから見れば,利益を得て国際的に台頭しました。今日では事情は一変しました。第一次及び第二次世界大戦で,英国は完全かつ絶対的勝利を得ながら,英国は,荒廃の一歩前に立たされてしまいました。そして,今では戦争は引き合わない商売だと英国民に納得させるのに,ほとんど骨が折れません。アメリカにおいては,戦争は得にならないという教訓がいまだ学ばれなければなりませんが・・・
 ・・・。歴史(特に世界史),この国とかあの国とか,特定の国の歴史としてではなく,(人類の)文化の興隆の歴史として教えられるべきです。人類全体の見地に立って教えられるべきであり,自分の国だけを不当に強調して教えてはいけません。どの国も例外なしに悪いことをやってきたし,その大部分は馬鹿げた過ちであったことを,子ども達におしえなければなりません。集団ヒステリーにより,どのように国民全体が愚劣な行動に駆られるか,また,広く行き渡った集団的狂気におし流されずに毅然たる態度をとる少数者をいかに迫害するか,子どもたちに教えるべきです。・・・。
... History should be taught as the history of the rise of civilization, and not as the history of this nation or that. It should be taught from the point of view of mankind as a whole, and not undue emphasis upon one's own country. Children should learn that every country has committed crimes and that most crimes were blunders. They should learn how mass hysteria can drive a whole nation into folly and into persecution of the few who are not swept away by the prevailing madness. ...