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バートランド・ラッセルのポータルサイト



R.カスリルズ,B.フェインベルグ(編著),日高一輝(訳)(一部松下修正)
『拝啓バートランド・ラッセル様(市民との往復書簡集)
目次

「アメリカでのかなり長い経験」


拝啓 バートランド・ラッセル様 

 ・・・。私は特に,アメリカがあなたを取り扱ったやり方・態度に,当惑しています。それは,アメリカの歴史において最も恥ずべき1ぺージです。そのような態度が私にもあるのかどうかわかりませんが,私は,死ぬ前にいつか,『バートランド・ラッセルのアメリカに対する影響』と題した本を書こうと思っています。・・・。あなたは,(あなたの努力の結果として)あなたが昔発見したものよりもずっと良い場所となった,あるいは,少なくともはるかに良い場所になるだろうという希望をもってこの世界を去られることになるでしょう。
 同封した昨日のデンヴァー・ポスト紙 (Denver Post) から切り取ったぺージを見ると,アメリカでさえ,あなたの英知と政治家としての力量 (statesmanship)を認め始めていることを示しています。ようやくのことではありますが・・・。

(ラッセルからの返事・1958年2月11日付)

 拝復 アーンダール様

 8月14日付のまことに快いあなたからのお手紙ありがとうございました。それを手にして非常に嬉しく思いました。また,デンヴァー・ポスト紙の切り披きもありがとうございました。
 デンヴァーには,わたしはたった一回だけ行ったことがありますが,それは,ベン・B.リンゼー判事が活躍していた時代で,あなたの住んでおられるデンヴァー市は,当時,彼をあまり親切に取り扱いませんでした。あなたのお便りから察するところ,その後はデンヴァーも以前よりはリベラルになったように思われます。
 私のアメリカに対する影響について書くと約束された本を心待ちにしています。
 あなたの国(米国)で私が最初に講演したのは1896年のことでした。そうして最後に講演したのは1951年でした。ですから米国についてはかなり長い体験をもっています。
 私は,この世界を私が見てきた以上に住み良い場所となったのを見て去ることができると信じることができればと望みます。これまでのところは,その反対のことになりそうに思われます。もう一度,あなたのお手紙に感謝申し上げます。あなたの手紙は,本当に私への励ましとなります。
 敬具
 1958年8月22日 バートランド・ラッセル

(From: Dear Bertrand Russell; a selection of his correspondence with the general public, 1950 - 1968. Allen & Unwin, 1969.)
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