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(寸言)牧野力「ラッセルへの関心」
『ラッセル協会会報』n.14(1970年3月刊)p.9.

*(故)牧野力氏は当時、早稲田大学政経学部教授、ラッセル協会常任理事


ラッセルが晩年を過ごしたプラスペンリン山荘  英国から帰った方のお話である。
 英国におけるラッセル卿の人気の秘密がどこにあるのかと考えてみたくなるほど、肯定・疑惑・冷笑・熱狂の別はあっても、とにかく、ラッセルの名は英国民の耳目を集める力をもっている由。
 貴族趣味の伝統派の中には、名門ラッセル家への郷愁的思慕の心情がある。
 常識と社会通念の枠内に生きる人々には、(ラッセルは)冷笑・疑惑と対象として作用する。
 庶民大衆には、個人の自由と社会正義、人類の生存のために我を忘れ、老齢を物ともせず、実践行動に生きる姿は、胸中に何かを訴えずにはいない。これは、熱狂的に爆発する底力となる。
 「人類の良心」と目される姿を失うのは英国の庶民にも寂しいであろう。(松下注:ラッセルは、1970年2月2日死亡。写真は、ラッセルが晩年を過ごしたプラスペンリン山荘)