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[質問]
 ラッセルは、『結婚論』(Marriage and Morals)のなかで結婚の目的は子供にあると言っていますが、納得できないというか、私はそうは思いません。子供のいない夫婦でも意味があると思いますがどうでしょうか?


[回答]
 「子供を結婚の目的とするラッセルの見解には同意できない」とのことですが、そのように指摘する人は少なくありません。(たとえば、みすず書房刊『結婚論』の訳者後藤宏行氏評論家の久田見氏)しかし私には、どうもラッセルの真意を理解していない人が多いように思います。

 「結婚」という言葉にどのような意味をもたせるかによって話が違ってきますが、ラッセルがここで言っているのは、「法的」な意味での結婚「制度」を言っています。

 「結婚」によって「法的にしばる」必要があるのは、離婚した場合に経済力のない方(ふつうは女性ですが、男性の場合もあり。)や生まれたあるいは生まれてくる子供を保護するためです。もしも離婚しても生活にこまらないような社会になっていれば、子供がいない場合は、「法的」に保護する必要はありません。子供がいる場合は、(どのような時代にあっても)一人で生活費をかせげるようになるまでは「法律」によって保護する必要があります。したがって「結婚」(入籍/この言葉が不適であれば、「籍を新しくつくる」)という形にして法的に保護する必要があります。
 子供がいなくて、離婚しても誰も生活にこまらないような社会(Utopia)になっていれば、法的に「結婚」という形態をとらなくても、「同棲」でよいことになります。若い頃に限定すれば、社会が(ラッセルの言う)「友愛結婚」(trial marriage 試験結婚)を認めることが望まれます。

 大人の男女(夫婦)をしばる必要があるのは「第一義的に」「子供を保護するため」です。「その次に」離婚することよって不利益を被る「経済的弱者」を保護することです。そういう意味でラッセルは、「結婚」制度を意義づけています。

 子供がなく、二人とも経済的に独立していても「結婚」(籍を入れること)によって簡単に離婚できないように法的に保護しなければならないと主張される真意はなんでしょうか? 法的にしばっておかないと愛する人からいつ自分に飽きてサヨウナラと言われるか不安なため?