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「ラッセルの言葉366」まえがき

『ラッセルの言葉366』(アマゾン・インターナショナル、2015年7月刊)「まえがき」からの転載です。


 まえがき

 日本だけでなく,世界的な傾向かも知れませんが,著名人の言葉を集めた本が最近かなり出されています。白鳥春彦(訳・編)『超訳 ニーチェの言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン ,2010)が100万部を越えるベストセラーとなったことが影響しているように思われますが,いろいろな出版社が二匹目のドジョウをねらって,これでもかというほど,いろいろな分野の著名人の言葉を集めたものを出しています。

 文学者や詩人の言葉を集めたもの(『超訳 ゲーテの言葉』,『超訳 ヘッセの言葉』ほか),宗教家の言葉を集めたもの(『超訳 仏陀の言葉』,『超訳 ブッダの言葉』ほか),科学者の言葉を集めたもの(『アインシュタインの言葉』ほか)・・・その他多数。タレントまでが参戦するほどです(例:有吉弘行『毒舌訳 哲学者の言葉』)

 特に日本人は毒舌家としてのニーチェが好きらしく,ニーチェの言葉を集めた本が食傷気味になるくらい多数出されています。(『ニーチェ 勇気の言葉』,『ミッキーマウス決断する言葉 ニーチェの強く生きる方法』,『常識なんてにゃんセンス 人生を変えるニーチェの言葉』,『ハローキティのニーチェ 強く生きるために必要なこと』,『ニーチェ愛の言葉 美女をつくる60の条件』,『日めくりニーチェ』,・・・)

 白鳥春彦氏が出されているものには「超訳」というキャッチフレーズ(?)がつけられています。そのまま直訳するとわかりにくいので,超訳というスタイルをとり,わかりやすい言葉で訳出すること自体望ましいことかも知れませんが,少し危険なニオイを感じてしまうのは私だけでしょうか?

 思想家の言葉は部分的に取り出してみても,たとえ原文もわかりやすい文章であっても,より広い文脈でみないと誤解してしまうことがけっこうあります。理想的には,読者がわかりやすいように,超訳あるい意訳するとしても,該当の英文をあげるか,あるいはたとえばネット上に英文(できれば対訳)を置いて,訳文に疑問をもった読者に原文を参照する手立てを提供することだと思われます。
 最近では,原文を添えているものも少しだされていますが,ほとんどが訳文だけとなっています。私が特に不満に思っているのはその点です。

 このたび,『ラッセルの言葉366』を出すにあたって,ごく少数の例外を除いて、ほとんどのラッセルの言葉(訳文)について、詳細情報にあげたURL(リンク)をクリックすることによって原文(英文)を閲覧できるようにしました。電子書籍ならではの利点です。また,その英文も引用文(訳文)に該当する文章だけでなく,その前後の文章(英文)も見られるようになっています。いずれも,私が1996年8月8日に開設したラッセルのポータルサイトに掲載している情報です
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  http://russell-j.com/index.htm )
 ラッセル思想及びラッセルの英語の学習に役立つものと確信しています。(松下彰良)