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[学会点描: ラッセルに魅せられて]
図書新聞」1964年10月31日号 掲載


(1964年)10月23日午後5時から、早稲田大学大隈会館で、日本ラッセル協会(仮称)発起人会準備会が開かれた。ラッセルを研究し、その思想に深い共感を寄せる碧海純一、牧野力、東宮隆らの諸氏の呼びかけによるものだが、さきごろ中国で核実験が行われたばかりだけに、かねてから中立・核兵器全廃を主張しているラッセルを理解・研究・普及していこうという、この呼びかけは、まことに絶妙なタイミングだった。
読書会案内状n.65の画像
★この準備会に集まった人々は、ラッセルの業績をそのまま反映して、法哲学者、文学者、数理哲学者、弁護士、平和運動家など、多彩な顔ぶれ。
★このグループ、けっしてラッセル卿のラッセル教(右イラストは、第56回「ラッセルを読む会」案内状から)をひろめようというラッセル狂の集まりではないのだが、それでも、ここに集まった学者・研究者たちは、こもごも立って、ラッセルへの愛を告白していた。
★東大教授・碧海純一氏:「旧制高校時代からラッセルを読みだし、その簡潔でウィットに富み、かつ高度な内容を盛った文体に魅せられた。それ以来、こけおどかしの文体で、無内容なものを書く人には反撥を感ずるようになった。また、牧野力早大教授は、「多方面にわたる、しかも高い内容をもつラッセルは、とても一人ではきわめつくせない。グループをつくったら、みんなプラスになるのではないかと考えていたところ、『世界』(岩波書店)3月号に、ラッセル卿の訴えと平和財団の構想が掲載されていたのを読んで、会をつくることに踏み切る決心ができた。」
★ラッセル百人委員会の役員・日高一輝氏は、4年間ラッセルと親しく交わり、その来日実現に努力した人物。「広島、長崎に投下された原爆には、西欧人の一人一人に責任がある。この人類への反逆と不法は許さぬ」というラッセルの言葉に感銘したと語っていた。
★次の準備会は、11月25日に同じ場所で開かれるが、順調にスタートしたこの会の成長を祈りたいものだ。