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岩松繁俊「バートランド・ラッセル平和財団日本資料センター」資料 n.1(1966年8月19日)へのまえがき

* 資料n.2からは活字印刷ですが、この創刊号だけは手書き(謄写版刷)となっています。
* 岩松繁俊氏(長崎大学名誉教授)は、執筆当時、長崎大学助教授。岩松氏は、日本バートランド・ラッセル協会設立発起人の一人


(pp.1-2)
ま え が き(岩松繁俊)

岩松繁俊著『20世紀の良心-バートランド・ラッセルの思想と行動』の画像(箱入り)  私は、1962年以来ラッセルと文通を続け、「ラッセル平和財団」発足後は逐次その資料の送付を受けているものです。最近、これらの資料をまとめて二つの論稿を書きました。それは、「バートランド・ラッセルの平和思想と反帝国主義」(長崎大学経済学部機関誌『経営と経済』n.104号所収)および「バートランド・ラッセルの平和活動の機関としての二つの平和財団について」(近く出る前掲機関誌n.106号所収)で(あり)、これらのなかで、バートランド・ラッセル平和財団の設立目的と計画、および1966年1月までの具体的活動について、詳細な紹介と検討、解説を行いました。
 今日(1966年)、ラッセルが94歳の老齢にもかかわらず、平和のために精力的な努力を続けていることは誰ひとりとしてしらぬものはいないほどですが、最近のラッセルの平和思想については、系統的に報道されることがなく、そのため、彼の細かい思想についてはほとんど正しく知られていない有様です。「平和財団」は、まさに人々を無知から解放するために系統的に真実を報道することを、その主要な目的の一つとしているのですが、わが国ではその平和財団そのものに関する報道が以上のべたような現状なのです。
 前にのべたような拙稿を書いたのも、このような現状をいささかでも打開するためであったのですが、論文ということになれば、書いてから公表するまでに随分時間がかかりますし、また、資料をそのまま長く書くわけにはいきません。そこで、ここに、以上の論稿でとりあつかっていない新しい資料をそのまま公表することにしました
 しかし、財政的に何の裏づけもない個人の仕事であり、また研究上も協同体制のととのっていない現状でのほとんど孤立した仕事ですから、ラッセルが書いた資料の全部を網羅的に公表することができないのはまことに残念ですが、いささかでもみなさんの参考になるように続けてまいりたいと思います。
 さて、1962年に文通をはじめてから今日までに、ラッセルおよびその「財団」から私宛に送られてきた手紙や資料の数は、67通ですが、ここではまず、本年7月19日発信の郵便に同封されていた資料6編のうち、2編だけ拙訳により掲載することにします。
 まず、資料6編のタイトルを示してみましょう。
  1. Message from Bertrand Russell to the People of South Vietnam on the Radio of the National Liberation Front, 24 May, 1966.
  2. Message from Bertrand Russell to the People of Vietnam on Radio Hanoi, 24 May, 1966.
  3. Speech by Bertrand Russell on the Radio of the National Leberation Front to American Soldiers in South Vietnam, 24 May, 1966.
  4. Speech by Bertrand Russell on Radio Hanoi to American Soldiers Serving in South Vietnam, 24 May, 1966.
  5. An Appeal to the American Conscience from Bertrand Russell, 18 June, 1966.
  6. Non title (Lord Russell's Address to the National Conference of Solidarity)

ラッセル著書解題
 以上6編のうち、ここに公表するのは、1と3の拙訳です。は南ベトナム民族解放戦線のラジオを通じて南ベトナム人民へ放送した録音メッセージ、はラジオ・ハノイを通じてベトナム人民へ放送した録音メッセージ、は世界人民の国際連帯闘争によるアメリカ帝国主義打倒の立場にたち連帯すべき世界人民のなかに、アメリカ人民、南ベトナムに送られて戦争させられているアメリカの兵隊たちを含めて、その兵隊たちに武器を捨て、戦争をやめ、アメリカ帝国主義支配者に対する戦争犯罪裁判にみずから体験した生々しい証拠を提供するようにと、じゅんじゅんとさとしたもの、は同じくハノイ放送を通じて南ベトナムにいるアメリカ兵に呼びかけたもの、はアメリカ人民に呼びかけたもの、はイギリスで開催した国民連帯会議へのラッセルの挨拶です。
 こられの資料のほかにも、重要な資料がありますが、それらについてはあとで公表することにします。
 1966年8月19日 長崎市〇〇町××× 岩松繁俊
岩松繁俊氏、バートランド・ラッセル平和財団資料センター資料発行にあたってのお願い(画像)