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佐々木隆彦「バートランド・ラッセル卿の著作展(イスラエル国際書籍展,1967)

* 出典:『日本バートランド・ラッセル協会会報』第7号(1967年4月)p.10.
* 佐々木隆彦は当時、理想社社長、ラッセル協会理事


ラッセル協会会報_第7号

 今年(1967年)3月28日より4月5日まで、イスラエルにおいて「第3回エルサレム国際書籍展」が開催されたが、その際、世界各国で発行せられているバートランド.ラッセル卿の出版物を一堂に蒐めて特別展覧が催された。
 このエルサレム国際書籍展は、エルサレム市の主催でイスラエル出版者団体や教育文化省・外務省・商務省・図書館などの協賛のもとで、隔年ごとに開催されることになっていて、今年はその第3回目に当たるのである。国際書籍展といえば、その代表的なものは毎年秋西独のフランクフルトで開催されるものが世界的に有名であるが、昨年は9月22日から27日の間に開かれ、日本からも約70社が参加している(今年は10月12日から17日迄)。これに比べると、エルサレムの書籍展はまだ歴史も浅く、従って規模も小さいが、(エルサレム市)文化受賞者の特(別)展が、フランクフルト書籍展に見られない新しい試みである。
 この文化賞は、エルサレム市が『社会における人間の自由』という課題に対して著述をもって貢献した著者に贈られる賞であって、第1回は1963年、バードランド・ラッセル卿に、第2回は1965年に、マックス・フリッシュ(Max Frisch)氏に贈呈せられている。今年の国際書籍展には、このラッセル卿の著作物の大陳列場を設けるために、イギリスで出版されたラッセルの全刊行物を揃え、それに世界各国において翻訳されたものを蒐めるために、わたしの社(理想社)にも出品を要請して来た。恐らく、ラッセルの翻訳を発行している他社にも来たにちがいない。
 今年は「国際戦争犯罪裁判」の開催とともに、ラッセル卿に対する世界的関心の一層高まる年であると思われる。